2006-01-01から1年間の記事一覧
特等の席を設けず寒落暉海見えず山陰線の冬帽子着ぶくれてさして思はぬ人と逢ふまだ死んでゐぬ不仕合せ枯蟷螂
席題「誰」 それは誰のものでもない秋夕焼 「海」 海綿の弾力強し冬隣 「食」 秋の蚊の乞食行脚といふべかり 自由 万巻の書を読み終えし花野かな ブレーキのキキーと鳴つてそぞろ寒
望むことさほどはあらず草雲雀
獺祭忌ゆるゆる下る坂の道
この手より離れし君や秋茜
新涼やカットグラスの冷やし酒
席題「鶏」 鶏が後でん先でんところてん 「閉」 夏蝶の祈りの如く羽を閉づ 「糸」 糸巻で戦車つくるや夏休み 「転」 バッタ跳ぶ有為転変が書けなくて 自由 痩せ我慢ばかりしてをり渋団扇
二時間で三十つくつて十五句を自選の上で出せと言ふなり そのうちなんとかまともな八句 席題「濡れる」+「青」 触るるとき濡れると思ふ青蛙 「ガラス」+「祭」 祭の夜ガラス細工の豚を買う 「河骨」+「北」 河骨や昭和は遠く北一輝 「変はる」+「赤」 毛…
席題「つめ」 つめ切つて親不孝かも誘蛾灯 「事業」 明易し眠り足らふも一事業 「人」 人品は卑しからざり羽抜け鶏 「会ふ」 まくなぎや会いたくもなき人に会ふ自由題 萍や時の止つてゐたりけり
晩春やいまさら悔やむ甲斐もなき
己が愚を知るは愚ならず荷風の忌
不機嫌の癒える頃合い花馬酔木
鳥交る北の賊国滅ぶべし横田早紀江さんの米下院証言を見て、あらためて怒りを覚える。
春の雨音なく森に降りにけり
席題「手」 手枕で座敷に居るや夏隣 「数」 春塵や数ならぬ身の置きどころ 「石」 菜の花にによつと石欠け地蔵かな 「湯」 桜湯のめでたさほどの付け元気 「番」 番台の座蒲団干さむ日永し 自由題 山の辺の廃寺の沼の花筏
席題「旬」 引つ括るキネマ旬報春彼岸 「刀」 薙刀の少女等の食ぶ蕨餅 自由題 かがなべて浅き眠りや西行忌
行き違う人には未来蜃気楼
早春の街灯ひとつ消えのこる
亀鳴くやけふの日付はなんだつけ
冬麗や捨て犬とゐる防波堤
残像の炬火うつくしき霜夜かな
意味もなく畑の葱の折れてをり
眠る子の無心羨しと思はずや
冬眠の覚めざる夢を思ひけり
足許のいささかあやし雪女郎
足るを知ることを知らざり鮟鱇鍋
着膨れて産科の前を歩みをり
鏡餅据ゑて古畑・金田一