2007-01-01から1年間の記事一覧
湯豆腐や世間をせまく生くる意味
暗証の思ひ出せない師走かな
土かくす落葉の朽ちてゆくところ
逝く日には銀杏落葉を敷き詰めよゆくものもくるものも銀杏落葉かな
おもしろくふとおそろしき影絵かななつかしくふとおそろしき憂国忌
狐火やつきのない日がつづきをり
一日のあまりに迅し朴落葉朴落葉やがて夕日の北御堂
短日や洋書セールと錦絵と古書肆には仏書ばかりの冬の昼草臥れて店に座ればポインセチア床の軸判読できて置火鉢寒波くる西日本の百川に
悔いばかり多くなりぬるおでんかなつまらないこと思い出すおでんかな
茶の花やむりやり癇癪おさへけり癇癪のはじけぬやうに冬安居
初冬の人に遅るる気安さよ初冬の人に遅るるにがさかな
奈良町の古書を購ひ冬に入る
短歌研究新人賞とその候補作を読む。くだらぬ作品多し。 哀れ蚊の現代短歌唾棄すべし
蛇女と思ふ女に嫌われぬ
一族に英霊のなき極暑かな
土用東風羨ましきは黄泉の国 花ちるや瑞々しきは出羽の国 石田波郷
ポンポンダリア話して聞かせる柄でなし
蝉時雨街は陰画になりにけり
憂しの字は優しのつくり梅雨あけず
急に風重たくなりぬ夕立来る
独り言多くなりゐし著莪の花
青梅雨の学び舎暗くなりにけり
冷酒に少し色ある夕かな
とりかかるまでがなかなか夏隣
こでまりや二度目の雨は濡れて往く
花屑や一所懸命もう終わる
霾や最中の餡はやや固め霾(つちふる):黄砂現象
広げたる枝の端までさくらかな
おぼろ月だからゆつくり帰ろうか
うららかにをればこつくりくびふりぬ