2009-01-01から1年間の記事一覧

刃研ぐ人はマスクをしてゐたり

しぐるるや汁粉は甘いだけのもの

侘助やわかつて呉れる人はいる

山茶花の散り敷く庭に迎えられ

白障子ごしの陽差しや脇本陣

あららぎの眠り姫へと蔦枯るる

海暮れてセロリぽきりと折りしかな

俳人も商売大事寒ごやし

冬座敷匂袋と宇治十帖

製鐵の赤錆高炉冬に入る

ダーウィンも聖書も知らぬ海鼠かな

龍の玉餓鬼大将もをつたとさ

結句また独り法師や片時雨

知ることは悲しみのたね女郎花

その墓の小さなことよ曼珠沙華

薄原歩きつかれてしまひけり

気がつけば説教する側零余子飯

稲光して聞香といふあそび

鳳仙花あへて云ふなら星まはり

なんとなく不仕合わせかも赤のまま

秋鯵の走りで一献又一献

コールタール臭き枕木草の絮

学友の一人は牧師黒葡萄

酔漢も昭和生まれの二十日月

ほどほどに勝つはむつかし秋刀魚食ぶ

無花果やわざわざ云うてくれずとも

海月にも落としどころはあるのやら

月光のくまなき毒の水中花

流燈に久女鷹女に汀女かな

忌部とふ姓を伝へて盆の月